からくりサーカスオリジナルストーリー
ぷっちひみつ日記帳
〜死闘! 黒賀最強頂上決戦編〜

 

×月◎日

きょう あしはなと はざまといっしょに

にんぎょうくりの れんしゅうを しました。

ふたりで かわるがわる ぷっちのことを

あやつって うごかして れんしゅうしてました。

はざまは あいかわらず へたでした。

だから あしはなは はざまのあたまを ぶちながら

へたくそめ おめえみてえな やつは

ちのしょーべんがでるまで けいこすっから

かくごしなせえよと ゆいました。

はざまは いてててと ゆいながら

ううあにき あっしも びしびしあにきに しごかれて

がんばって あにきみたいな くろがいちの

にんぎょうつかいに なりやすぜと ゆいました。

 

ばーか おめえみてえな へたくそが

くろがさいきょうの このあたしに おいつこうなんざ

ひゃおくおくまんねん はええんです と

たばこを ふかしながら あしはなが ゆいました。

けど えれに いちげきされた あしはなだって

ほんとは じゅうぶん へたくそなのですが

へたくそとゆうと あしはなが きをわるくして

また いちねんくらい れんさいに でなくなるかなと

おもったので だまってました。

でもほんとは こんなへたくそたちじゃ ぷっちも

そのせいのうを はっきできないから やでした。

どうせなら えれとか ぎいとかに

あやつられたほうが よくうごけるので

しろがねのにんぎょうに なりたかったです。

 

そしたら そこへ

ぶろろろろと おっきなおとを たてて

おっきなとらっくが こっちに はしってきました。

とらっくの ほろに なんかかいてましたが

かんじだったので ぷっちには よめませんでした。

おとに きずいて はざまが とらっくをみました。

そしたら あしはなが よそみしてんじゃねえですと

はざまのほっぺに たばこのひを おしつけながら

はざまがみてた ほうに めをやって

はしってきた とらっくに きずきました。

 

なんですありゃと あしはなが ゆうと

はざまが なんかかいてやすねと ゆって

くろ が にん ぎょう てん と

とらっくにかいてる かんじを よみあげました。

そしたら いきなり あしはなは

なに くろがにんぎょうてん やつらがきたんですかいと

おもわず たばこのひを とりおとして

ぷっちのあたまに おっことしました。

たばこが あつくて やだったので

はざまの えりくびを ひっぱって

せなかに たばこを ほおりこんで やりました。

あちちちちと はざまが さわいだので

うるせえはざま もたもたしてねえで

やつらがくるまえに けえりやすぜと ゆいましたが

はざまは きこえなくて あちちちと

そこらかしこを はしったり ころがったりしてました。

そのあいだに とらっくが あしはなたちのまえに

とうちゃくしてしまいました。

にげそこねた あしはなは

ころがったはざまを けとばしながら

ああああ またあいつらのあいてを しなきゃなんねえのですかと

ちょっぴり やなかおをしました。

 

わはははははははははははははは

ふふふ とうとうおいつめたぞ あしはなめと

とらっくから こえが きこえました。

それから とらっくのどあが ひらいて

くろこみたいな へんなかっこをした さんにんぐみが

おおきな しょいこをかついで おりてきました。

かおをかくしてて よくみえなかったけど

ひとりは まゆげが ふとかったです。

もうひとりは おなかがぽっこりした こぶとりで

さいごのひとりは せいたかのっぽでした。

 

さんにんぜんぶが おりてから

まゆげが いちにのさん と あいずしますと

いっせいに さんにんの しょいこから

へんな にんぎょうが さんたい とびだしました。

ながい やりをもったり ながい かたなをもったり

なんだか さむらいみたいな にんぎょうでした。

とびだした にんぎょうたちが それぞれ

じぶんのぶきを かまえて ぽーずしました。

けど もとが へんなにんぎょうだったので

ぽーずすると ますますへんに なりました。

とくに こぶとりの ながいかたなをもった にんぎょうが

やんきーずわりしてて とても へんでした。

あれならまだ ぷっちのほうが かっこいいなと おもいました。

 

ついにみつけたぞ あしはなえいりょう と

まゆげが あしはなのかおを ゆびさして ゆいました。

われらさんにん きさまをたおしにきた

どちらが くろがさいきょうの にんぎょうつかいか

きょうこそ けっちゃくを つけようではないか と

おおごえでさけんで にんぎょうを かまえました。

あしはなよ よくもいままで われらに

おそれをなして にげまわってたな ひきょうものめ と

こぶとりが ゆいました。

そしたら あしはなは

どうでもいいですがね あんたら なにもわざわざ

くろがにんぎょうてんなんて ふしぜんなめーみんぐ

なのるこた ねえじゃねえですかいと ゆいました。

 

へええ このひとたちは にんぎょうやさんなんだ

にんぎょうやさんなら ぷっちのことを かって

にんぎょうくりの じょうずな えれに うってくれないかなとゆったら

そうじゃねえんですよと はざまが ゆいました。

あれはどうやら せけんのめを あざむくための

かもふらーじゅの つもりらしんですぜと はざまがゆいました。

でもまえに かもふらーじゅを まにうけて

おこずかいで りかちゃんをかいにきた おんなのこを

おのれわれらをなんだとおもってると あしげにしやがって

けいさつに おっかけられて おおさわぎになったんだぜと

はざまが こそこそ みみうちしました。

よけいなことはいわんでよいと まゆげが おこりました。

とにかく きょうこそ あしはなよ きさまと

われわれと どっちが さいきょうの にんぎょうつかいか

ながねんの たいけつに けっちゃくを つけようではないかと

きりきりきりと おとこたちが にんぎょうを うごかしました。

 

まずは しょうげつの ながやりをうけてみろと

のっぽが あやつる にんぎょうが

ながいやりを まるで ぷろぺらみたいに

ぐるんぐるんと かいてんさせました。

そしたら あしはなは あーあ またですかい

かんがえなしに くるくる まわしなさんなってのにと

ぶつぶつゆいながら ぷっちを あやつりました。

あやつられて ぷっちは 

ながいやりが かいてんしてる まんなかを

がしとつかんで やりました。

そしたら やりが かいてんを とめて

その まわってた はんどうで

にんぎょうのほうが ぐるんぐるんと まわりました。

にんぎょうにつながった いとに ひっぱられて

あやつってた おとこも ぐるんぐるんと まわって

じめんに びったん ばったんと たたきつけられました。

いとのさきで ふりまわされるようすが

なんか でんでんだいこみたいで おもしろかったです。

ぐるんぐるん ふりまわされながら のっぽは

うあああ だれか とめてくれいと ゆってました。

おのれあしはな あいかわらずやるなと まゆげが ゆいました。

 

ならば わたしののだちのせんれいを うけてみよと

こんどは こぶとりが にんぎょうを うごかしました。

こぶとりの にんぎょうの ながいかたなが

にんぎょうの まえや さゆうを すごいすぴーどで

ぶるぶるぶるんと ふりまわされました。

どうだ この たちすじのはやさを おまえにみきれるかと

こぶとりが じまんげに ゆいました。

はやくて さっきみたいに つかむことが できませんでした。

そしたら あしはなは ぷっちを あやつって

ひょいと にんぎょうの うしろに まわりました。

ばかめ こののだちには しかくなぞ ないのだぞ

たとえ はいごにまわったとて このやいばでまっぷたつだぞと

こぶとりが いとをひっぱると にんぎょうの ながいかたなが

まるで せなかを まごのてをつかって かくみたいにして

うしろがわに いっきに ふりおろされました。

そしたら ぷちぷちぷちと おとをたてて

にんぎょうに つながった いとを

じぶんのかたなで いっぽんのこらず きって しまいました。

にんぎょうが うごきを ぴたりと とめました。

ちゅうとはんぱな かっこで とまったので

ばらんすがくずれて にんぎょうは

そのまま ぱたんきゅーと たおれて しまいました。

 

それをみた こぶとりは ひやあせを たらしながら

お おのれ このわざをみきるとは さすがあしはなと ゆいますと

そしたら まえにもあんた おんなじめにあったでしょ と

あしはなが すいがらを ぴんと すてました。

それから まだこうげきしてない まゆげを ゆびさすと

つぎはあんたですかい いっときやすけどね

こんどはなんか しんねたをみせてくれねぇと

やったって やんだけむだですよ と ゆいました。

そしたら まゆげは むむむと おこりました。

おのれあしはな しんねたとはなんだ

われらを おわらいげいにんみたいに ゆうなと おこって

けっかんを おでこに うかばせました。

だってあんたら もう かぞえきれないくれえ

しんぽのない むだなしょうぶを いどみながら

そのつど けちょんけちょんにされて かえってくじゃねえか

いいかげん まんねりなんですぜ あーあと

あしはなはゆって そして あくびをしました。

 

おのれ よくもわれらを ぐろうしたな

それならば わたしのこうあんした しんひっさつわざを

おみまいしてやろうと まゆげが ゆいました。

そしたら にんぎょうの かたについてた いたっきれが

くるくるくるくる まわりはじめました。

どうだ このぶーめらんは ひとあじちがうぞと

まゆげがゆって それから いとをひきました。

そしたら ぶーんと まわりながら いたっきれが とんできました。

 

よけようと おもったのですが よけるまもなく

いたっきれは ぷっちのまよこを とおりぬけて

そのまま ぷっちのうしろへと とんできました。

とんでって それから もどってきて

また ぷっちのまよこを とおりぬけて

いきおいよく なげたにんぎょうへと もどってきました。

いたっきれの いきおいが つよすぎたのか

にんぎょうは いたっきれを うけとめられなくて

そのまま まっぷたつに されてしまいました。

はんぶんこになった にんぎょうが

ころん ころろんと ころがって たおれました。

 

その たおれたひょうしに いとに ひっぱられて

まゆげが すってんころりん ずっこけました。

あたたたと おしりを なでながら おきあがると

さすがはあしはな くろがさいきょうの にんぎょうつかい

よくもみごとに かわしおったなと まゆげがゆいました。

かわしてねえですよと あしはなが こたえましたが

まゆげの みみには とどかなかったようで

このこうげきをかわすとは なんてやつだ

てきながらあっぱれ さすがわれらのこうてきしゅ と

のっぽと こぶとりもまじって くちぐちに ゆいました。

 

ねえ あにき そろそろ ひるめしにしやせんか と

わりこんで はざまが くちをはさみました。

そうだな んじゃはざま きょうは

むかし かのうさんがおしえてくれた とんかつやに

つれてったげやしょうと あしはなも こたえました。

とんかつですかい あぶらのとりすぎで

またふとっちまったら やだなあと はざまがゆいますと

もんくゆうな だったらあたしが とんかつをくってやるから

おめえは あおむしみてえに

きゃべつでも むしゃむしゃやってなせえ と

あしはなが きげんをわるくして こたえました。

それをきいてて ぷっちも なんか とんかつが

むしょうに たべたくなりました。

でも にんぎょうだから たべれないのが

とっても とてもざんねんでした。

 

こら おのれ われらをむししおって なにをはなしてるか と

おでこに けっかんをうかばせて まゆげがゆいました。

だってあんたら もうきはすんだんでしょ

なんべんやっても けっかはおなじなんですから

もう いいかげんにして あきらめて

じみちにむらで たばこやでもふろやでも

にんぎょうやでもなんでも やってりゃいいじゃねえですかいと

あしはなが さとすように ゆいました。

だからぷっちも はんこやもいいよと ゆってあげました。

はんこやだったら むらに いっけんしかないから

くろがいちばんの さいきょうの はんこやさんに

なれるから いいよと おしえてあげました。

 

そしたら なぜか まゆげが おこりました。

おおおおおと いきなりさけんだかと おもうと

そのまま とらっくの にだいに はしりました。

よし もうこうなったら ようしゃはせんぞ

われら くろがにんぎょうてんの さいごのきりふだだと

まゆげが とらっくのにだいを ごそごそしたかとおもうと

なんか ばずーかほうみたいな つつをだして

かたに かついで もどってきました。

あ ありゃ けいたいしきろけっとらんちゃーじゃねえですかい

どっからあんなもんを と はざまが ゆいました。

ふふふ ついにわれらを ほんきにさせたようだな

かりにも どうきょうのなかまに つかいたくなかったが

こうなったら われわれの しんのじつりょくで

くろがさいきょうの にんぎょうつかいのざを もぎとってやる と

まゆげが ばずーかを かまえて

あしはなと そのまえにいた ぷっちに ねらいをつけました。

 

うひゃあああ あぶねえにげろと ゆって

はざまが いちもくさんに はしって

はなれたとこにあった きのかげに かくれました。

ぷっちも にげようかなと おもったのですが

ところが あしはなは にげないで

ばかなまねは よしときなせえとゆいながら

さんにんのまえに たったままで

ぽりぽり あたまを かきました。

なんであしはなはにげないのかなと ふしぎでした。

 

でも わけをかんがえたら きっと あしはなは

あのれんちゅうが かわいそうになって

わざと やられたふりを してあげるのかなと おもいました。

そしたら ちょっぴりはーとふるな きぶんになりました。

だからぷっちも にげないで

たまがあたったら せいいっぱい わあああやられた

たすけてくれえと ゆってやるつもりに なりました。

そしたら あのさんにんも かったつもりになるから

いいことを してあげたことになって

とても はーとふるになっていいかなと おもいました。

ひとりでにげだしたはざまが きのかげから

どしたんですかいあにき はやくにげてくだせえと ゆいました。

 

うははは こしぬけめ にげることすら できなくなったかと

まゆげがわらって ゆいました。

それから たーげっとろっくおん ふぁいやーとさけんで

いきおいよく ばずーかを うちました。

 

あーあ

だからよしとけってったんですよと

あしはなが たばこをいっぽん とりだして

ひもつけないで くちに くわえました。

ばずーかのたまは あしはなにも ぷっちにも あたりませんでした。

ばずーかの うしろまえが ぎゃくむきになってて

うったとたんに うしろに たまが とんだからです。

まゆげの すぐうしろにたってた こぶとりのにんぎょうが

とんでったたまに めいちゅうされて

ばらばらにくだけて ばくふうといっしょに とびちりました。

そのたまは にんぎょうをかんつうして さらに

とまってた とらっくの ねんりょうたんくに ちょくげきして

ぼわっと ほのおが あがりました。

とらっくのそばにいた のっぽが

あひゃーとゆう さけびごえを あげました。

ですが あっとゆうまに ほのおと けむりと せんこうとが

さんにんと にんぎょうと とらっくを かくしてしまいました。

あひゃーとか ぎゃーとかゆう さんにんのひめいも

ばくおんに まぎれて きこえなくなって しまいました。

 

ばくふうのかぜが こっちにもきて

とんできた こいしが こつこつ あたりました。

あしはなの こーとにも ちいさい すなつぶが

ぱらぱら ぱらぱら ふりかかりました。

あしはなは うっとおしそうにして

こーとについた すなを ぽんぽん はたきました。

 

しばらくして けむりがはれたのを みますと

いちめん まっくろくろすけになった あたりいったいに

くろがにんぎょうてんと かかれた ぼろっちい きれっぱや

もう どれがどれだかわかんない にんぎょうの ざんがいやらが

いっぱい いっぱい ころがってました。

ありゃりゃ とゆいながら あしはなが あるいてきますと

そしたら そのごみのなかで

まっくろくろすけになった おとこたちが

ぼろくずにまぎれて ぴくぴく うごいてたのをみつけました。

さんにんとも なんか いきてたので よかったです。

 

いやあ あんたら じつにみごとでしたぜと

あしはなが かがみこんで おとこのひとりに ゆいました。

ゆわれた おとこが はんぶんうまった あたまを

もごっと もちあげて あしはなを みました。

もうすっかり まっくろくろすけに なってたので

それが まゆげか こぶとりか のっぽなのか

さっぱり だれだか わかんなくなってました。

 

ちりちりへあーになった おとこの あたまが

まだ けむりをあげて くすぶってたので

それに たばこを ちかづけて

ひをつけながら あしはなは つづけて ゆいました。

おいおい そんな うらみがましいめで みなさんな

わかったわかった あたしのまけです もう こうさんです

きょうから あんたらが くろがでいちばんの

さいきょうの にんぎょうつかいですと ゆいました。

だからもう こんなばかなまねは よしにしやしょうぜとゆって

おとこがおきあがれるように うまったつちを ほってあげました。

だからぷっちも かわいそうになって

おとこのあたまのつちをほるのを てつだってあげました。

とちゅうで こつんと おとこのおでこに てがあたったので

ごめんね よしよしいたかったねとゆいながら

おとこのあたまを なでなでして あげました。

 

そしたらとつぜん おとこは なきながら おこりました。

おおおおと おおごえでさけぶと

じりきで ぼこっと おきあがって

おのれ きさまらの なさけはうけん

みてろよ きっとじつりょくで きさまをたおし

くろがさいきょうの にんぎょうつかいのしょうごうを

このてで うばいとってやるからなと ゆいながら

ほかのふたりを ほりおこしました。

それから まっくろくろすけのままで みんなして

いいか あしはな きょうのところは

ひきわけということにして ひきあげてやるが

このつぎは もうてかげんは ないとおもえよ とか

どこへにげても ちのはてまでもおいつめてやるから

かくごして くびをあらってまってるんだな とか

みておれよ きさまを たおす そのひまで

どんなに たおされても たおされても あきらめずに

たたかって たたかって たたかいぬいてやるからな とか

くちぐちにゆいながら とらっくのざんがいのなかから

ぼろっちい さんにんのりのじてんしゃを ひっぱりだすと

それを きーこきーこと こぎながら

ゆうひにむかって えっちらおっちら はしってきました。

 

さんにんが はしってくのを みおくりながら

はああああと あしはなは おおきなためいきを つきました。

そしたら そこへ

さっき まっさきに にげだした はざまが

だいじょうぶですかいあにき ああぶじでよかった

などと ゆいながら もどってきました。

あしはなは めを いとみたくにほそくして

おやおや だれかとおもったら あたしをおいて にげだした

はくじょうものの はざまさんじゃ ねえですかい

そうゆいながら たばこの けむりを

ぷはあっと はざまのかおに ふきかけました。

けほけほけほ ちちちちちがいやす

そりゃごかいなんですぜあにき けほけほけほと

けほけほ せきこみながら はざまが ゆいますと

ったく なにが あにきのこしていけません ですか

かるいざわで ゆったのは ありゃ うそなんですね と

はざまの ねくたいを いじくりまわしながら ゆいました。

はざまはもう あせで すっかりだくだくに なって

だからそうじゃねえんでそんなきはぜんぜんねえんですようと

はんべそしながら いっしょうけんめい べんかいしてました。

 

そしたら あしはなは いきなり にっこり わらって

いや それでいいんですよ と ゆいました。

たたかいのなかじゃね はざま ときにゃこんな

なかまをみすてるくらいの ひじょうさが いるんでさ

それができた おめえは じつにりっぱなもんです

これで おめえも りっぱな にんぎょうつかいですぜ

つええ つええ にんぎょうつかいに なりやしたねえと

はざまのかたを ぽんぽんと たたきました。

えっほんとですかいあにき と

はざまはおおきなくちを にんまりひらいて ききました。

ああほんとですとも はざま

もう あたしがおしえることは なにもありゃしねえ

あんたは いちにんまえの いやいや りっぱな

くろがをしょってたつ さいきょうの にんぎょうつかいです

たいしたもんですぜ と あしはなが ゆいました。

おめえがさいきょうですって おさにも ゆっときやすし

いんたーねっとの ほーむぺーじで

せかいじゅうに せんでんしといてあげやすぜとも ゆいました。

 

そうですか うれしいなえへへへと わらってから はざまは

はっ と きがつきまして

ちょっとまってくだせえ あにき まさか

くろがさいきょうなんて ゆわせて もしかして

あのれんちゅうの あいてを おしつけて

やっかいばらいするきじゃ ねえでしょうね と ききました。

すると あしはなは いっしゅん ばれたかとしたうちして

なんかもんくがあんですかい はざま

あんたがなりたがってた さいきょうをゆずってやろうってのに

くちごたえをするとは いったいどうゆうりょうけんなんですかい

もんくをゆうのは このくちかこのくちですかいと

あしはなは ひらきなおって はざまのくちを つねりました。

ふがふが ふまねえふぁにき ふぇも

ふぉれとふぉれとはぶぇつなんらよほお と

くちをつねられて いみふめいになった べんかいを

はざまが いっぱい してました。

なにいってんのかさっぱりわかりやせんよと ゆって

あしはなは もっとつよく はざまのくちを

ぎゅゅゅうと つねくりこねまわしました。

はざまのほっぺが ごむみたいにのびて

とってもおもしろかったです。

 

かえるまえに ちょっと ゆうひのほうを みましたら

ゆうやけで まっかにそまった ちへいせんに

きーこきーことはしる じてんしゃが

だんだんちいさくなっていくのが みえました。

なんか せいぶげきの らすとしーんみたいで

おもわず かんばっしぇーんと ゆいたくなるような

ちょっぴり はーとふるな きぶんに なりました。

だから このまま あのさんにんが

たとえば どくろべーさまの おしおきとか うけないで

ぶじに おうちにかえれると いいなと おもいました。

 

おしまい

(H14.3.6_R.YASUOKA
(Based on comic,
('Le Cirque de Karakuri'
(by Kazuhiro Fujita)

 

おことわり:
本作は藤田和日郎原作「からくりサーカス」をもとにしたフィクションです。
登場する、あるいは想起されるいかなる人物・団体・事件・作品・人形店とも実在のものとは無関係です。
また、本作の元ネタはあさりよしとお原作「宇宙家族カールビンソン」、
アイディアの提供はまいさんのものであることを白状しておきます。
皆々様に感謝。