「了!!」「末!!」「端!!」

「我ら三人……」

「黒賀人形店!」

「……もう少し、聞こえのいい呼び名はないものか……」

「今さら何を言うか。トラックにまでデカデカ書いておきながら」

「……まあいい。それより……何故だ!」

「そう、何故我々は勝てないのか!」

最強の人形使いを目指して幾星霜、
実力者と思われるものには片っ端から勝負を挑んできたが」

「現在に及んでの戦績は275戦275敗! ただの1勝すらできないではないか!」

「……先週羽佐間に負けたので276敗だ」

「いや、恥じることはないぞ。
我々は常に『最強』の存在に挑戦を続けている! すなわち、
1勝した時点で我々は最強になれる! なれるのだ!!」

「……おお、そうだ!」

「そうとも! 276戦全敗とて気後れすることはないぞ!」

「しかし……そのたったひとつの勝ちが、何故拾えないのだろうか」

「とにかく! 大恩ある才賀正二様に報いるためにも、
一刻も早く最強の栄冠を手中にしようではないか!

「おお!」

「ではまずは、のこのこ日本に舞い戻ってきた阿紫花英良に挑戦してくれよう!」

「……しかし奴は、挑戦をまともに取り合わなくなってしまったからな」

我々強さに懼れなしたのかな

「手はあるぞ。あそこを歩く才賀勝を使い、彼奴をおびき出すのだ……
これこれ、そこな小僧。
飴をやるから
阿紫花英良という最強の人形使いをちょっと呼んで来てくれんかな」

「え、最強……?
 最強なら、阿紫花さんよりしろがねの方がずーっと強いよ」

「なに? しろがね……と?」

「だって、一撃でプルチネルラを壊したり、
無敵のあるるかんをスーツケースから呼び出したり、
体が柔らかかったりいろいろできるんだよ

「……」

「……さすがに、そこまでの相手なら、
最強の座譲ってやっておいた方が良いかもしれんな」

「で、坊や……そのしろがねは今どこにいるのかね?」

「ここにいるよ」

「どうかしましたか、坊ちゃま」

うわああああああ!

「……って、ただの小娘ではないか」

「こら童(ワッパ)! 
こんな、加納や高見より華奢な奴が最強とは……嘘も大概にしろ!」

「……しろがね、本当に強いよ」

「まだ言うか!」

「痛っ!」

「坊ちゃま!」

「くそう、手間をとった! 
こんな連中はほっといて行くぞ」

「……待て」

「え?」

あるるかぁーん!!

「あひゃあ!」

「許さんっ、レザア・マシオウ!」

 

 

 

 

 

 

 

……あーあ。
よりによってあの連中、
一番シャレにならねぇ相手につっかけちまってやんの……」

「……」

「……皆、生きておるか」

「うむ……惜しいところまで行ったんだがな……」

「どこがですかい!

(fin)

(H14.1.16 R.YASUOKA
(Based on Comic,
('Le Cirque de Karakuri'
(by Kazuhiro Fujita
(and 'CARLVINSON the space family'
(by Yositoh Asari)